※ここで記述する内容は無料で使えるCopilotをさしています。
なぜCopilotの「苦手なこと」を知る必要があるのか?
ビジネスシーンでのAIへの期待は高まる一方です。Copilotをはじめ、日々の業務にAIアシスタントを導入することで、資料作成のスピードアップ、メールの効率化、データ分析のたたき台作成など、生産性を向上させている企業もあります。
しかし、この波に乗るビジネスパーソンこそ、一つの重要な真実を忘れてはいけません。それは、Copilotを使えばすぐに生産性が向上するといったものではありません。
期待が大きいからこそ、実際に使用すると「この程度なのか?」「使えない」などの落胆の声もあるのも事実です。
そこで今回は、私の経験をもとにCopilotの苦手なことを紹介し、AIの活用にお役立てられたら幸いです。
この記事でわかること
- Copilotが苦手なこととは?
- Copilotの注意点とは?
Copilotが陥りやすい2つの「苦手な領域」
Copilotの性能は目覚ましいものがありますが、特に以下の3つの領域では、人間のチェックや判断が必須となり、過信は大きな業務リスクにつながります。
1. 専門性の高い分野のキャッチアップ
Copilotはネット上にある情報ソースを検索して入力されたプロンプトをもとに文を生成しています。
私たちの知らない専門性のある高い情報を整理、要約してあたかも専門家の様に説明してくれますがそこには落とし穴があります。
情報鮮度に注意
法改正や市場のリアルタイムなトレンド、競合他社の最新動向など、常に最新情報が必要なリサーチ業務においては古い情報を抽出し、誤った結果を出力する場合があります。また、同じようなプロンプトを入力しても全く違った、結果を出力する場合があります。
対策
・出力された情報に対して必ずソース元の情報を必ず提供をプロンプトで記述すること
・提供先の情報をご自身で確認し裏付けをとること
特に専門性が高いところには要注意です。
Copilotで出力された結果をもとにファクトチェックを行っても、なぜその判断になったのか?と専門の方に尋ねられると全く答えられません。
AIは「何を(条文)」は教えてくれますが、専門家が求める「なぜ(論理的根拠)」までは教えてくれません。AIの解釈は、その背景にある法的な裏付けがないため、専門家の厳しい目には通用しなかったのです。
専門性が高い領域は参考程度で扱うことがポイントです。
2. 複雑な論理的推論や複数ステップを要するタスク処理
Copilotはプロンプトをもとに求めている答えを導きます。複数の処理をおこなうプロンプトを入力すると返って思ってもいない結果が出力されます。
複数のタスク注意
一つのプロンプトに「文章の要約」「翻訳」「表形式への整形」など、複数の異なる処理を同時に指示した場合、以下の結果になりがちです。
・意図しない出力
・処理の優先順位の誤認
・処理精度の低下
→複数タスクを行うとどの処理が優先順位なのか?全体的にあいまいなプロンプトになってしまうためです。
対策
・1つの処理に対して明確な1つのプロンプトで記述すること
一度に処理した方が楽ですが、結果的に一つずつ処理した方が正確で速いです。。。急がば回れです。
3. 感情やニュアンスを汲み取ったコミュニケーション
Copilotは文章の生成は得意ですが、それはあくまで言語的なパターン認識に基づいています。非言語的な情報(文脈、人間関係、感情の機微)を完全に理解することは困難です。
ユーザーと直接かかわる業務で使うのは注意
・顧客への謝罪やクレーム対応のメール:定型的な表現で、相手の心情に寄り添えない「冷たい」文章に注意
・チーム内のデリケートな人事評価やフィードバック:表現が一歩間違えると、相手に不快感や誤解を与えてしまう可能性があります。
対策
・最終的にユーザー出す場合は人の判断で確認を行ってください。
※2025年10月1日時点では有料版のCopilotにはアンケートなどの回答に対し感情分析するagentが組み込まれております。今後の技術革新により、より感情分析が行える機能が追加されるかもしれません!
絶対に避けるべき!Copilot利用で知っておきたい重大な3つの「注意点」
生産性の向上と同じくらい重要視すべきなのが、リスク管理です。「過信は禁物」というテーマに直結する、業務の信頼性を守る上で絶対に知っておくべき注意点を解説します。
1. ハルシネーションのリスクと信頼性
AIが出力した結果を鵜呑みにしない
・ハルシネーションとは、AIが事実ではない情報を、あたかも真実であるかのように自信満々に出力してしまう現象です。これはCopilotに限らず、生成AI全般が持つ最大の弱点の一つです。
対策
・最終的にユーザー出す場合は人の判断で確認を行ってください。
このハルシネーションを理解せずに使用すると、AIへの信頼度が格段に下がってしまい「AI」=「嘘つき」のレッテルを張られて二度と使ってくれないのでしっかり押さえておきたいポイントです
2. 機密情報・個人情報の取り扱いに関するデータポリシーの壁
Copilotの利用形態によって、入力したデータの保護範囲やポリシーは大きく異なります。
注意事項 エンタープライズ保護機能機能が有効化を確認
エンタープライズ保護機能機能が有効になっている場合は「データは基礎モデルのトレーニングには使用されません。」エンタープライズ保護機能の有効の有無はCopilot画面の上部に矢印で示したアイコンが表示されます。

トレーニングに使用されば場合どうなってしまうのか?例えば社内でしか使われていない機密性の高い言葉やコンテンツが学習され、他の企業に有利なってしまう情報が流れる可能性があります。
私の実体験では、Microsoft365アカウントにログインしない状態で使用した場合エンタープライズ保護機能が有効化されていない場合がありました。 使用する際はチェックマークを確認してください
3. 著作権・知的財産権の問題と倫理的責任
AIが生成する文章やコード、デザインなどのコンテンツは、その基となった学習データに依存しています。そのため、意図せず著作権や知的財産権を侵害する可能性がゼロではありません。
生成物の注意点
生成された画像や文字をそのまま商用利用した場合作権侵害で訴えられるリスクが考えられます。特にインターネットで公開するコンテンツについては細心の注意が必要です。
対策
画像を商業利用する場合は加工を加えるなどオリジナルの内容を加えて使用することをお勧めします。
まとめ:過信を捨て、Copilotを「真の相棒」にするためのマインドセット
Copilotは、私たちビジネスパーソンにとって、間違いなく最も強力な生産性向上ツールの一つです。しかし、今日述べたように、「苦手なこと」「注意点」が存在します。
Copilotを最大限に活用するための鍵は、その役割を正しく理解することです。
Copilotは、「業務を加速させるための優秀なアシスタント」であり、決して「すべての業務を人間の判断なしに肩代わりしてくれる存在」ではありません。
このマインドセットを持つことで、あなたはCopilotの得意なこと(高速な情報収集、文章のたたき台作成、データ整理など)に専念させつつ、人間の判断・チェックが必要な部分(論理、真実性、)を適切に切り分けることができるようになります。
過信を捨て、正しい知識でリスクを回避する。これこそが、AI時代を生き抜くビジネスパーソンに求められる「賢いCopilotの使い方」です。

